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一般的に、リレーなどの機械接点を有するデバイスをマイコンの入力に接続する場合、接点切替時のスパークノイズの低減のため、クランプ回路を追加することが推奨されています。
クランプ回路を入れれば問題なく動作するというのは間違いないのですが、逆に言うとクランプ回路を入れない場合はどうなるかという点については、実験によって確認するほか手段がありません。
本稿では、実際にリレー接点の切替時に発生するスパークノイズを観測し、クランプ回路を挿入しない場合にどのような問題が起こるかの実験を行っていきたいと思います。
実験方法
実験回路
本実験では、下記に示すようなクランプ回路を挿入しない回路と、クランプ回路を挿入した回路の両方を作成し、それぞれスイッチング時のスパークノイズについて測定しました。


使用した機材
- オシロスコープ:OWON SDS1022
- 安定化電源:Amazonで売ってた可変スイッチング電源
- 実験用安定化電源:DP100
実験手順
実験は、下記の2つの回路について、それぞれ24VのON/OFFを意図的にチャタリングさせた場合の出力を確認しました。
- クランプ回路を挿入しない回路での波形観測
- クランプ回路を挿入した回路での波形観測
実験結果
クランプ回路を挿入しない回路での波形観測


実験結果を確認すると、やはりクランプ回路を挿入しない状態では、HIからLO、またはLOからHIに変わる直前でスパークノイズが発生していることがわかります。
Raspberry PiのGPIOがノイズに弱いというのは各所で言われていることですが、これほどのノイズが乗ってしまうと、ノイズの量によっては誤作動どころかGPIOが壊れてしまう可能性もあります(実際自分は何個か壊しました)。
クランプ回路を挿入した場合の波形観測


クランプ回路を挿入した例の波形を見てみると、確かにロジックの変化点でも、さほどスパークノイズが発生していないことがわかります。
ノイズが発生している箇所でも、定格より数100mVくらいの超過なので、まあ多分大丈夫でしょう。
注意点
今回は一般的なダイオードで問題ないスイッチング速度での確認でしたが、もしかすると速度を上げると、何かしら問題が出てくるかもしれません。まあ、そもそもそんな速いスイッチングをリレーでやること自体間違っているのですが。
まとめ
今回の実験では、クランプ回路の有用性を確認することができました。実験結果からも分かるように、Raspberry Piでクランプ回路を入れずにリレーを接続すると、ほぼ間違いなくGPIOをぶっ壊すので注意してください。
この記事がなにかの役に立てば幸いです。